去年の総括がまだ終わっておらず、気分的にはまだ大晦日なんだけど、もう二日になってしまったので、とりあえずあけましておめでとうございます。
去年5月に始めたブログを見直していて気づいたこと二点。
- 記憶力が悪くて、読んだものや書いたことを全然覚えていなかった。
- 一昨年のキーワードが「組織」だとすると、去年のキーワードは「歴史」だった。
一点目については、エンハンスメントしたいところだが、なるべく復習したり他人に話したりするなどしてカバーするしかない。自分の記憶力の悪さを恨む。まあ、恥ずかしい記憶や悪い記憶も忘れて精神的には都合が良い面もあるんだけど。
二点目については、『物語「京都学派」』のあたりから始まって、ようやく日本思想史に関心が出始めた。自分のsituated selfぶりに自覚的になってきたということだ。この傾向は今年も続くものと思われる。
あと、花に対する関心も出てきた。だんだんhumanizeされてきたということか。
(追記:某名誉教授に研究会に誘われて勉強しだした道徳教育についても、いろいろ開眼することがあった。)
一年を振り返っていて記憶に残った引用
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1970年代頃からのアメリカへの大量研究留学もあって、アメリカ系の社会理論ないし政治学が日本で主流となっていくのだが、実証・検証どまりという、そのサイエンス型発想だけでは、〈条件純化〉から出発する「自然」科学と異なって、〈条件複合〉の「社会」、とくに政治について、ミクロ・マクロのいずれでも不完全情報しかえられない。このため、政治については、実証・検証が実質不可能という限界をもつことを、つねに再確認すべきであろう。
もちろん、実証・検証は不可欠なのだが、同時に実証・検証だけでは「ムダ骨」だという緊張感覚をもちたいと思う。むしろ、現実課題の解決をめざすため、「役に立つ」政策・制度改革への《構想》のなかではじめて、実証・検証が活きた生産性・実効性をもつという、思考方法ないし思考訓練が不可欠といってよい。193-4頁
単なる研究者でもなく、単なる活動家でもなく、実証的研究・理論的研究に裏付けられた実践的な研究者になるということを考えなければならない。
- 作者: 小熊英二
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学徒兵たちは、西洋の哲学や思想には通じていても、日本社会の状況を知らなかったことを痛感させられた。大学で論じていたヘーゲルやカントの哲学を、日常経験を分析するために応用する訓練を欠いていたことも、身をもって実感した。この経験は、西欧の理論を単なる知識として学ぶのではなく、日本社会の現状を分析し、変革してゆくための社会科学にまで鍛え上げることの重要性を認識させた。(55-6頁)
これは今も同じだよな。よくよく心すべし。
- 作者: 小宮山宏
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学者は新しい学術領域の創造に取り組まなければならない。すでにたくさんの学者がそうした取り組みを始めているが、学者全体を見ると、まだ大半の学者が何かいい論文はないかと海外をキョロキョロ眺め、海外の理論を翻訳・紹介したり、その理論をより深めるということで満足していて、新しい学術の領域を自分でつくっていこうという気概に欠けている。ましてや、複雑化し、細分化した知を統合するビジョンをつくろうとする学者は、残念ながらさらに少ない。
・・・結局、日本社会全体が、課題解決の手段を外国に探すのではなく、自ら創造していくのだという気概を持っていない。日本全体がまだ途上国意識なのだと思う。(52-3頁)
小宮山さんの言うところの「フロントランナーの精神」を培わなければならない。定職を得たからといって安住していないこと。
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大拙にとっても禅は思想ではない。あるとき大拙は目の前のテーブルをガタガタ動かして、「禅とはこういうもんだ」と言ったという。そしてこのガタガタが、居合わせた西田幾太郎に直接響いたという。禅はこれで尽きていると言うこともできるであろう。(322ページ解説)