え、こだまの世界?

A day in the life of...

直観主義批判

以下メモ。直観主義intuitionismという言葉は、ミルやシジウィックになるとはっきり出てくるが、ベンタムでは出てこない(探したら見つかるかもしれないが)。ベンタムは共感と反感の原理とか、気まぐれ(caprice)の原理とか、感情主義sentimentalismという言葉を使う。しかし、その内実はまぎれもなく直観主義批判だ。

共感と反感の原理とは、ある行為を、(中略)、単にある人がその行為を是認または否認したいと思うゆえに、是認または否認し、その是認や否認をそれ自体として十分な理由であると考えて、なんらかの外部的な理由を探し求める必要を否定するような原理を意味する。世界の名著94頁

仮に直観主義に二種類あるとして、直観それ自体に道徳的正当化の力があると考える立場を「強い直観主義」、直観それ自体には道徳的正当化の力はないが、直観が道徳的に重要な事実の所在を示す指標indexとなっていると考える立場を「弱い直観主義」と呼ぶことにすると、ベンタムは強い直観主義を批判していると言える。

それらの思想体系はすべて、外的な基準に訴える義務を避けて、著者の感情や意見それ自体が理由であるとして、読者におしつけようとする工夫からなっている。99頁(一部改訳)

そういえば、Ipsedixitism(「彼曰くipse dixit」主義)とも呼んでいたな。