- 作者: ジョン・ステュアート・ミル,朱牟田夏雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1960/02/05
- メディア: 文庫
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私は常に、抽象的な学問…の畑は別として、独創的思想家としての自分の才能をあまり買っていなかったが、すべての人から学びとるという気持および能力にかけては、同時代の大概の人たちにくらべて、はるかにまさっていると考えていた。事実、新と旧とを問わず、あらゆる意見のための弁護論を、私くらいたんねんに検討する習慣の人間はほとんど見ることができなかった。それは、たとえそれがまちがった議論であったとしてもその底には一脈の真実がひそんでいないとはかぎらず、また、どういうばあいにもせよ、それらの議論を一応もっともらしく見せているのが何であるかをつきとめれば、やはり真実にとっての利益とはなるにちがいないという、私の確信から出た習慣なのであった。210-1頁
マルクス・アウレリウスのは、批判された場合の心がけだったが、こちらは批判するときの心がけ。成功している議論からも、失敗している議論からも、なにがしか学ぶべきことはある。どれだけ馬鹿げて見える議論でも、なぜそれが一部の人に受け入れられているのかについて、思いをめぐらせること。