え、こだまの世界?

A day in the life of...?

philosophical exemptionについて

米国では、はしかなどの予防接種は基本的には義務的mandatoryなのだが、例外的に、医学的理由、宗教的理由、そして州によっては哲学的理由から免除を申し出ることができるそうだ。哲学的免除philosophical/philosophic exemptionというのは、軍隊の良心的兵役拒否の文脈で使われだしたそうだが、変な命名だ(かっこいいけど)。personal belief exemptionという言い方もあるそうで、そちらの方が良い名前の気がする。

「変な命名だ」と感じるのは、philosophical exemptionといっても、「わたしは実存主義者/カント主義者/利己主義者だから予防接種しません」とか、「わたしは哲学博士だから、予防接種しません」とかいうのではなく、単に宗教以外の個人的信念から予防接種を行わないというだけで、普通の意味で「哲学的」ではないからだ。おそらくは、筋の通らない不合理な理由も「哲学的理由」になると考えられるので、なんだか変な話だ。

とはいえ、学問としての哲学ではなく、「人生についての一家言」というような通俗的意味では「哲学的」と言えるだろうか。しかし、そうすると何でも哲学になって、結局のところ「予防接種はmandatoryだ」という主張が骨抜きになるのではないかと思う(実際、公衆衛生に関わる米国人はまさにそういう心配をしているようだ)。