- 作者: 無着成恭
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1995/07/17
- メディア: 文庫
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思い出したので、忘れないように引用しておく。
……鶴見俊輔は、日本人の考え方、とくに明治以後「近代化」のかた棒をかついだ日本インテリの考え方の特徴が「ヘテロロジカル」であることを、指摘した。学者が「日本人」の「啓蒙」、「近代化」、「民主化」の必要を力説するとき、それを説いている学者自身は、「日本人」のひとりとして自己を意識せず、したがって、かれら自身は、「啓蒙」、「近代化」、「民主化」のラチ外にあるものとして、議論していることが、明治以後の日本の思想の根本的な弱さであることをかれは指摘した。つまり、日本の学者が「日本」および「日本人」を論じるとき、それはあたかも、自己をふくまざる集団として論じていたのだ。明治以後の官僚が、人民の外側に、そしてかれらより一段高いところから、日本の「工業化」を命令したと同じ方式を、日本のインテリは自己の思考方式として借用した。
(359頁、鶴見和子による解説より)
カントのような啓蒙主義者は自分の立ち位置についてどう考えていたんだろうか。