- 作者: 竹田篤司
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/10/01
- メディア: 単行本
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「此程の中堅諸君の対世間的活動は、少し世の中の要求(と申すより一部はジャーナリズム)に引廻され過ぎの傾無きかと疑ひます。もつと自己内集中に傾いてもよくはないでせうか」(177頁、田辺元から下村寅太郎あて)
そういえば、京都学派も一枚岩ではなく、下村寅太郎などは、「近代の超克」という考えに懐疑的だったようだ。
全然小林(秀雄)を受けつけない人間というと、京都学派の下村寅太郎なんかそうで、下村は「創文」三月号の自伝風のエッセーの中で、「近代の超克」座談会に出たが、小林たち文学者には「近代」も「超克」も何もわかっていなかった、彼らが日本の「知性」なら、何たる脆弱なものかと思った、それ以後彼らのものは全く読まない、といっている。この拒絶反応の下村寅太郎にルネサンスやブルクハルトについての業績がある。ブルクハルトは近く岩波から出るらしい。(183頁)
このあたりは丸山の問題意識と相通じるところがあるようだ。