え、こだまの世界?

A day in the life of...?

処刑の部屋

太陽の季節

太陽の季節

大体この社会、なんてえとおこがましが、世の中が小っぽけな部屋みたいに息苦しいじゃねえか。俺たちはその中でじわじわ刻まれているんだ。その中から飛び出そうとして俺は何かやるんだ、自分のやりたいことから徹底的にな。それが一番良い方法かどうかは考えてる暇はねえし、考えたって誰にもわかりゃしねんだよ。何か、何かを体当りでぶち壊してやりたくとも、それが何処にあるのかがわかんねえんだ。(155頁)

自分の欲求や直観を指針として生きる。考えても無駄。閉塞感。欲求の追求。ロマン主義?

俺はな、手前がなぜそんなことをやるのか考えてみるなんざまっぴらだ。やりたいからやるんじゃねえか。それだけで沢山だ。妙な理屈で自分を誤魔化すのは下らないと思うな。自分のやったことがどんな意味があるのかなんぞは今止って考えたって出て来るもんじゃないぜ、やれるだけやりたいことをしてみてその内にわかって来るんだ。(108頁)

生きる意味を考えても、時間の浪費であり、欲求の命じるままに生きた方が充実した人生を暮らせる。インテリの吉村とは違ったルートで、頭ではなく体を使うことによって、生きる意味を見出そうとする。

"ざま見ろ、俺はこうして今この掌で、俺自身を、手前の腹腸を掴んでるじゃねえか。こいつあ手荒く手応えがあらあ。吉村の奴が今の俺を見たら自分が勝ったようなつもりで良い気持になるかしらねえが、そいつあ、大間違いだ"(172頁)
"これと比べりゃもっと死に甲斐のある何かがあるんじゃねえか、いや確かにある。それが何だ、何だかわからなくたっていい、前よりは急に近づいて来たぞ。がこれだけじゃ未だ御正解とはならない。そいつを掴むまで、こんな下らねえ殺され方で満足してたまるかっ"(173頁)
"冗談じゃない、俺は俺の思うことをやったんだ、精一杯な。俺は少なくとも真面目だったさ。その決算は、答えは、吉村の好きな結論は、俺には見えかかった何かのそいつは、未だだ、未だこれからずっと先だ"(174頁)