はじめての臨床社会心理学―自己と対人関係から読み解く臨床心理学
- 作者: 坂本真士,佐藤健二
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2004/10/01
- メディア: 単行本
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お、これは良くまとまっていておもしろそうだ。よく読んで勉強しよう。ぱらぱらと読んでいると、「人はなぜ攻撃するのか」というところで、次のような一文があったのでメモ。
世のため人のために改革や変化を実現しようとする利他的公共的な社会奉仕活動も、広い意味では、自分の生きる生活環境の改善や社会環境の安定につながります。つまり、一見、他人のため(他者利益のため)のような行動もすべて、根本的には自分のため(自己利益のため)だと考えられます。(232頁)
以上のように、私たち人間は、究極的には自己利益の確保と拡大のために攻撃をするということがわかりました。(234頁)
心理的利己説がさらっと書かれている。これは心理学においては通説なのかな。実証されていると理解されているのだろうか。問題は「自己利益の『ために』」の「ために」のあいまいさなんだろう。「自己利益を意図して」なのか、「意図していないが、潜在意識として自己利益のことを考えて」なのか、あるいは「明示的な意図も潜在的な意図も存在しないが、第三者からは常にそのように説明できる」なのか。第一のものは実証的に偽となるだろうし、第二、第三はユダヤ人の陰謀説と同じぐらいのもっともらしさしかないことになる。と思うが、これについてはいつかもっときちんと考えないといけない。