- 作者: 清水幾太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/07/10
- メディア: 文庫
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久しぶりに読み返す。いろいろおもしろいな。文章も読みやすい。しかし、読者を意識した独白スタイルの書き方(という表現が適当かどうかわからないが)は、カッコつけてるのが鼻につく。カッコつけた文章って嫌いなんだよな。そういえば、この人は文章読本か何かで美文がどうとか言っていたか。
功利主義のどこが悪いのか、どうしても、私には納得することが出来ないのである。多くの人々が、功利主義というのは、昔の滑稽な失敗であるかのように、もう片づいてしまった愚考であるかのように振舞っている理由が判らないのである。功利主義は、大地に縛りつけられた人間の欲望や満足という事実を明らかにし、また、この満足の極大化に対するエリートの責任を明らかにしている。・・・正直のところ、多くの研究者が功利主義に向って侮蔑の表情を示せば示すほど、私には、功利主義の魅力が抗し難く増して行った。(153)
このくだりと、最後のオルテガの「貴族/大衆」の話(436)は、解説で川本先生が書いているように(468)、確かにぎょっとさせられるな。しかし、ロビンズの話のところにもすでに統治功利主義の話が出ており(112)、伏線はある。
最初のムーアの話はおもしろいが、シジウィックがほとんど出てこないな。
とかなんとか書いたが、すごい本には違いない。よく読んで勉強しよう。