- 作者: 暉峻淑子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/09/20
- メディア: 新書
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ふと読み直してみる。福祉国家の西ドイツの対比など、若干古くなっているとはいえ、経済効率至上主義、福祉切捨ての今日の日本の問題を鋭く指摘した本。この本のあとに、小泉首相が出てきて、この本で批判されている経済政策を追求していったことを考えると、感慨深い。
というか、この本を読んでると、今の朝日新聞と同じことが書いてあり、いつまで経っても対立の構図は変わっていないという気にさせられる。
労働時間を短縮するなどして、人間性を回復すべきだという主張は基本的に賛同するが、消費社会に関する現状の分析の鋭さに比べると(労働時間の短縮以外は)処方箋があいまいなのが残念。とくに「二つの自然の統一」という話は、肝心の二つの自然の定義があいまいでよくわからなかった。西ドイツを見本にするのはまあいいが、自然を見本にするのはやめた方がよさそうだ。