- 作者: 村井実
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1987/09
- メディア: ハードカバー
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隣の業界(=道徳教育)にはこんな人がいたのか、と今さらながら驚く。以下は村井実の薫陶を受けた慶応大学の小泉仰による解説の一節。
先生はアリストテレスの実践的三段論法を手掛かりにして、さらにそれを発展させたジョン・スチュアート・ミルの『論理学体系』に展開された道徳科学の論理logic of moral scienceを援用して、道の知的側面について積極的提案を行っている。
周知のように、ミルは功利原理を使うのに立法化的使用(公共的見地)と裁判官的使用(私的見地)に分けて、前者こそ道の基本的な働きであると考えるのである。これに対して村井先生は、ミルの立法家の使用する実践的三段論法の前提的段階として、愛智者的機能という道徳発見のための三段論法の構造があることを主張し、この働きによって私たちが道徳の原理を発見できると主張している。(407)
なるほど、小泉先生が研究社のJ.S.ミルの本で論じている元ネタは、これなのか。よく読んで勉強しよう*1。
*1:翌日の追記。自分の周りには、村井実を知っている人は今のところいない。本の内容は明快ですばらしいと思うのだが、一体どうなってるんだろう。