え、こだまの世界?

A day in the life of...?

発表に対する質問の種類とそれぞれに対する答え方について

やっぱり分類する必要があるよな。質問を分類した上で、応答の仕方について、典型的な対応法を考えておくことが重要だ。

  1. 言葉の意味を問う質問。「報告の中で出てきた〜の意味(定義、原語)は何ですか」。答えは比較的容易だが、気をつけないと、プラトンの対話編のように、いびられる。
  2. テキスト解釈の是非を問題にする議論。報告内容に「カントによれば〜」という部分があると、「カントはそこでそんなことは言っていないのではないか」など、カント研究者から突っ込まれる。自分がカント研究者であれば、デスマッチのつもりで戦う必要があるが、そうでなければ、「いや、まあ、これはわたしの解釈というより、あくまで通説であって、いずれにせよ議論の大筋には関わらない細かい議論なのでどうでもいいです」などと答えるとよい。
  3. 議論に筋が通っているかを問題にする質問。分析哲学者など、内的整合性を重んじる人々の得意技。「あなたの結論には賛成するが、そこへ至る議論にジャンプがあるんじゃないか」「あなたの議論であれば、次のような認めがたい結論も出るんじゃないか」など。冷静に対処する必要があるが、気が動転して質問の意味が十分に理解できない場合は、「論理だけでなく、情緒も大事だ」「わたしは直観主義者ですから。功利主義だって直観に基づくんでしょう?」などのような答えを用意しておく。
  4. 報告のまとまりを問題にする質問。「序論における研究目的と、結論で述べられていることが違うのではないか」「その方法では、研究目的が達成されないのではないか」など。このような質問がなされる場合は、そもそも研究にまとまりがないものであることが多い。その場合は「この発表はあくまでpreliminaryなものですので、論文のときまでに一貫性のある内容にします」と誠実に答えるか、「理性の導くままに議論を展開したらこうなりました」などと答える。
  5. 対人攻撃。「あなたはそんなことも知らないのか」「あなたがそのような意見を持つのは、あなたがナチス(安楽椅子の哲学者、民間シンクタンクの研究者など)だからだ」。基本的に喧嘩を売ってきているので、そのつもりで対応しなければならない。上級者向けには、「そんなこと言う人はガス室に送り込みます」「最近ソファを買ったので、寝そべりながら哲学してます」など、ジョークで返すという手が考えられる。
  6. 単に発言したいがためになされる質問。発表とは無関係な内容の持論を滔々と語ったあと、「わたしは以上のように思いますが、それについてあなたはどう思いますか」などという、老人にありがちな発言。老人が偉い人である場合は無視できないので困る。「それについては今後の課題にしたいと思います」と答えるのが無難。

まだありそうだが、また日を改めて考えることにしよう。