え、こだまの世界?

A day in the life of...

ピーター・シンガー関連の本

ちょっとメモ用にまとめておく。

1. まず、日本語で読める入門書。

シンガーの実践倫理を読み解く―地球時代の生き方

シンガーの実践倫理を読み解く―地球時代の生き方

最初の章で簡単なシンガーの伝記的紹介がある。安楽死、動物倫理、菜食主義、援助義務、環境倫理、また功利主義についても各章で論じられている。

現代社会思想の海図

現代社会思想の海図

第14章でシンガーの思想全体を扱っている。功利主義、動物、生命倫理、グローバリゼーション(援助義務を含む)など。

英語で読める入門書。

On Peter Singer (Wadsworth Philosophers Series)

On Peter Singer (Wadsworth Philosophers Series)

応用倫理の部分だけでなく、進化論や法に従う義務や道徳的になる理由などより哲学プロパーな議論についても紹介している。最後にシンガーのインタビューもある。

2. 次にシンガーの代表的著作。本人は『動物の解放』、『実践の倫理』、『生と死の倫理』、『あなたの救える命』(現在翻訳中)の四冊が応用倫理分野における自分の代表作だと言っている(2009年のintellectual autobiography (in Peter Singer Under Fire, p. 58より))。

動物の解放 改訂版

動物の解放 改訂版

動物解放運動を生み出した書。

動物の解放

動物の解放

Animal Liberation: The Definitive Classic of the Animal Movement (P.S.)

Animal Liberation: The Definitive Classic of the Animal Movement (P.S.)

実践の倫理

実践の倫理

もともと教科書用に作られたもの。第二版ではいわゆるドイツで起きた「シンガー事件」についてのエッセイが補遺として収録されている。

実践の倫理

実践の倫理

Practical Ethics

Practical Ethics

Practical Ethics

Practical Ethics

Practical Ethics

Practical Ethics

最近第3版が出た。

生と死の倫理―伝統的倫理の崩壊

生と死の倫理―伝統的倫理の崩壊

生命の神聖性の考えに挑戦している。安楽死や中絶だけでなく脳死の問題も扱っている。

Rethinking Life and Death

Rethinking Life and Death

1995年にオーストラリアでノンフィクション部門大賞(the National Book Council of Australia's Banio Award)を取ったそうだ。

The Life You Can Save: How to Do Your Part to End World Poverty

The Life You Can Save: How to Do Your Part to End World Poverty

世界中で困窮している人々への援助義務について論じている本。もうすぐ翻訳が出る予定。同名の寄付に関するサイトはここ

私たちはどう生きるべきか (ちくま学芸文庫)

私たちはどう生きるべきか (ちくま学芸文庫)

シンガーは代表的な著作に数え入れていないが、なぜ道徳的になるべきか(なぜ利己的に生きるだけではだめなのか)について論じた著作。ロジャー・クリスプは書評で、無人島に一冊だけ持っていくならこの本と評したそうだ(上記自伝論文より)。わたしもよい本だと思うが、シンガー本人が代表作に入れなかったのは、個人的にはまだこのテーマについて十分な解決が得られていないからだそうだ(同上)。

3. シンガーの全体像がわかる本。入門書とも言えるが、シンガー自身の文章を直接読みたい場合はこちらをどうぞ。

人命の脱神聖化

人命の脱神聖化

モナシュ大時代の同僚のヘルガ・クーゼが編集した本。序文でクーゼがシンガーの哲学の展開について少し解説している。翻訳は原著のいくつかの章を省略している(哲学的な論文と、生命倫理、動物倫理のみ)が、原著ではマルクスや進化論の話、菜食主義や環境問題の話も含まれている。

Unsanctifying Human Life: Essays on Ethics

Unsanctifying Human Life: Essays on Ethics

Writings on an Ethical Life

Writings on an Ethical Life

シンガーが自分の思想の概要を一般人に伝えるために用意した著作。論文の抜粋や新聞への寄稿などからなる。

4. 動物権利関連の本など

大型類人猿の権利宣言

大型類人猿の権利宣言

The Great Ape Project: Equality Beyond Humanity

The Great Ape Project: Equality Beyond Humanity

The Great Ape Projectの本。リチャード・ドーキンス、ジェーン・グダール、ジャレド・ダイアモンドなど有名人が寄稿*1

Animal Rights and Human Obligations

Animal Rights and Human Obligations

5. 動画など

Effective altruism (効果的な利他的行為)についてのTED講演。字幕付きのものはここ

Peter Singerが協力して作った運動家Henry Spiraについてのドキュメンタリー。

*1:GAPとは異なるが、日本ではSAGAサガ:アフリカ・アジアに生きる大型類人猿を支援する集いSupport for African/Asian Great Apesが活動しているようだ。