某所で夕食をとっていたら、次のような話を耳にした。
A:「T大が、新年度から原則午後5時以降の公的な会議を行わんことにしたそうやね*1」
B:「なんでやねん。わし遅く起きるから、会議は遅くしてくれんと困るやんか」
A:「いや、ほら、いま流行りのワークライフバランスいうやつやんか」
B:「なんやそれ」
A:「なんや、そんなことも知らんのかいな。仕事と生活の調和っていうやつや。仕事と生活のバランスや」
B:「な、な〜にが仕事と生活のバランスやねん。わしから仕事取ったら生活なんて残らへんやないか。生活マイナス仕事、イコール、ゼロやがな。死んでまうがな」
A:「いや、それは君だけであって」
B:「わしだけちゃう。まじめな大学教員はみんなそうや。T大の教員みんな死んでまうがな」
A:「いや、誰も仕事を取るとは言ってないやんか。仕事はほどほどにして、家庭生活を大切にせんと、とくに現状では女性にとって働きにくい環境になってしもてるやろ。だから仕事減らそうということや」
B:「生活って、家族ともっと過ごせいうことかいな。会議なくなっても、わしは研究室に残って仕事するだけやけど」
A:「君はもっと家族大切にせんと、しまいに愛想つかされんで」
B:「そんなん言うてもなあ。研究せんと大学に残られへん時代やしなあ。わし、大学から追い出されたら、どこも行くとこあらへんで」
A:「もっと早起きして仕事したらええねん」
B:「早起きあかんねん。早寝早起きしたら寿命縮むねん」
A:「でも、まじめな話、問題はワークライフバランスだけやなくて、教育活動と研究活動の調和とか、アドミニストレーションと研究・教育活動の調和とか、もっとちゃんと考えへんと、一流の教育研究活動はできへんね」
B:「そうやそうや。わしなんか、ヤクルトの古田みたいなもんで、研究者かつ教育者かつ会計係かつ営業係みたいなことしてるからな」
A:「いや、古田はそんなことしてなかったやろ」
B:「たとえや、たとえ。まあなんでもええねん。問題は、大学教員は個人商店みたいに分業が進んでないから、一つのことに専心できへんいうことや。これの方が問題やで」
A:「なんとかせんとなあ」
B:「なんとかせんとなあ」
A:「…。オチないがな」
B:「ええねん。どうせオチなんか考えずに書き出したんやから」