え、こだまの世界?

A day in the life of...?

本を読む女

本を読む女 (新潮文庫)

本を読む女 (新潮文庫)

先日の朝日の夏の読書案内にあったので、図書館で借りてみた。おもしろかったので一気に読む。本が女性を自由にするとか何とかというのではなく、単純に昭和初期の大河ドラマとしておもしろい。林真理子は初めて読んだが、文章はクセがなくて読みやすい。

「どこで就職しようと、どこに行こうと私の勝手だよ。私はもう大人なんだから自由があるだよ」
「何が自由だか……。まだ学校も卒業していない女学生が何を言うだか」(107)


万亀(まき)は今ほど家族がいる自分を恨めしく感じたことはない。いっそのことみなし児に生まれたらどんなによかっただろうか。自分が羽ばたこうとしても、いつも家族が足枷になる。ただ母親ということだけで、ただ兄ということだけで、自分にたくさんのことを要求していいのだろうか。(160)

確かに、自発的に同意をした覚えのない義務を課してくる家族というのは不条理な存在だよなあ。まあ、そういう不条理が人生にはいろいろあるわけだが。