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- 作者: 寺山修司
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/01/01
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実は寺山修司を読むのは初めて。この名言集はそれなりにおもしろい。が、コートの襟を立てているキザな感じが鼻につく。キザが好きでないのはなぜなのか。ナルシストっぽいからか。では、ナルシストはなぜ好きでないのか。自己を対象化しているところはよいが、対象化された自己をほれぼれと見る自己は、十分に対象化されていないからではないか。
あれ、なんだか詩の影響を受けているな。詩と寸言とか、文章のスタイルを意識することは嫌いではないんだよな。ナルシストはダメなんだけど。いや、しかしそういう自分もナルシストなんだろうか。ナルシストとは何か。ナルシシストではないのか。あるいはナルシシシストだろうか*1。
いずれにせよ、どこからでも読める本というのは良い。オレもどこからでも読める本や、遅刻して入ってきてもおもしろい講義をやりたい。
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あれ、これはおもしろいな。「サザエさんの性生活」は傑作。いつかフェミニズムの論文集を編纂する機会があったら(ないだろうけど)、掲載したい。「家出論」も、そもそも家出すべき「家」とは何かというところから問いかけており、磯野家やイプセンの人形の家などの話を考えると、これまたおもしろい。
キリストは、「右の頬を打たれたら、左の頬もさしだせ」といったそうですが、これは右手で百円もらったら、左の手もさし出せ」というのと論理的にはおなじであり、かなり物欲しい訓えであるようにおもわれます。(悪徳のすすめ、111ページ)
あとは「自由だ、助けてくれ」がおもしろい。
日本では・・・「自由になる」という言葉は「……から脱出する」というような意味をあらわしています。
××から自由になりたい。というのは、サラリーマンたちにさえ共通して「今の仕事をやめて自由になりたい」
というような意味をあらわしているのです。
しかし「自由」というのは、そんなカッコいいものばかりを指すのではありません。「××から逃がれる」というのは、原点に立ち戻る……ということであって、要するに振り出しに戻るだけのことにすぎないのです。
それに引き替え、「自由」というのは、原点より上軸座標にあるもので、「どっちを選ぶか迷う権利」と、「意のままに生理的に行動できる」権利とをあわせ持っているのです。(221ページ)
大学受験のときにこういう文章と出会っていたら、人生はまた違ったものになっていたかもしれない、とかなんとか。この本は軽快な感じでよい。初版は27歳のときか。
*1:追記。自尊心の欠如と同様、自尊心の過剰も悪徳なんだろう。ところで、ナルシシシシストの対義語はなんだろう。自己卑下だろうか。