The Case against Perfection: Ethics in the Age of Genetic Engineering
- 作者: Michael J. Sandel
- 出版社/メーカー: Belknap Press of Harvard University Press
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: ハードカバー
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短い本なので、一通り読む。スポーツのエンハンスメントや、デザイナーベビーの問題は、自律や公平といったリベラル的な価値を損なうからではない。それらが問題なのは、「所与」のものを受け入れるという謙譲の心(humility)を失うからであり、またその(=natural lotteryを廃した)結果、あらゆる行為に責任を持つ必要が生じたり、人びとの連帯心が失われたりするからである、云々。
ヒト胚研究については、従来の中絶に関するパーソンの議論をほぼそのまま流用して、ヒト胚はパーソンではないから研究を禁止する根拠はない、としている。ただし、だからといってモノ扱いしてよいことにはならず、尊重しなければならないと述べている。これは日本と同じ結論だ。
学習指導要領の道徳の章の「自然を愛護し,美しいものに感動する豊かな心をもち,人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深める」とか「生命の尊さを理解し,かけがえのない自他の生命を尊重する」を思い出した。
もう少しよく読んで、何が問題なのか考えることにしよう。米国大統領委員会の報告書とも比較せよ。