え、こだまの世界?

A day in the life of...?

功利的な哲学のにほひ

本を読む時間がない。

文明論之概略を読む 上 (岩波新書 黄版 325)

文明論之概略を読む 上 (岩波新書 黄版 325)

福沢諭吉は、いはゆる伝記の上からは、荻生徂徠と全然無関係の人物である。しかし、その哲学に於いても、史学に於いても、両者の間は、目に見えぬ太い、不朽の思想的連鎖で、しつかりと結びつけられて居る。その経験的な、実証的な、功利的な哲学のにほひ、その経済的な、社会的な、演繹的な史学の色調、両者は正しく日本の思想界に巍然として相呼応する高峰である。誰やらがプラトーンに精通しカントに暁達しさへすれば、その間の哲学者には学ぶ必要がないといふやうなことをいつたのを記憶して居る。徳川氏以降の日本思想史は徂徠に精通し、福沢に暁達すれば、その間はたしかに飛び越してもさしつかへない。少くとも日本生粋の思想史を学ばうとするならばそれで沢山だ」(32頁、白柳秀湖『歴史と人間』昭和11年から)

なるほど、「功利的な哲学のにほひ」ねえ。やっぱり福沢だけでなく、荻生徂徠も読む必要があるな。