え、こだまの世界?

Every day is like survival

某国際会議、『シュリック教授殺害事件』発売など

夜中

早朝に起床。シャワー、身支度。某先生らからいただいた料理を一口いただき、それから朝食。そのあと、しばらく某報告の準備。

朝、某先生らと一緒に歩いてミュンスター大学へ。国際会議初日。副学長のクヴァンテ先生の挨拶。京都のお菓子のお土産をさしあげたら、翻訳本を二冊もらってしまった。

午前中、某報告。まあ無事に終わったということで。他の発表もしっかり聴く。学際的(日本の基準的には超学際的)なので、いろいろあっておもしろい。

お昼、伝統的なドイツ料理屋でFlammkuchenを食べる。

午後も会議。報告を真面目に聞く。時間の管理がルーズで、結局予定より1時間遅れて修了。

(哲学科の建物)

 

そのあと、歩いてレストランに移動して夕食。イタリアン。リゾットを食べたらお腹一杯になる。ワイン。

夜、ホテルに戻ってシャワー。さすがに疲れたのでさっさと寝よう。

『シュリック教授殺害事件』出版

そういえば、『シュリック教授殺害事件』が無事に出版されたようだ。日記を見返すと、なぜ読み始めたのか忘れたが、2011年11月末に一通り読んだようだ。監訳者あとがきにも書いたが、読み終わる頃に編集者の某氏に翻訳したいと申し出て、それから院生を集めて翻訳を始めた。

院生を動員したのは、私もそうだったが、院生のうちに翻訳と添削を経験しておいた方がよいからというのが主な理由。基本的には自分で訳した方が早い。訳者の交替もあり、また監訳者によるチェックにも時間がかかり、結果的にだいぶ出版が遅れてしまった。すみません。

翻訳は時間の無駄だと考える研究者も少なからずいる。時間がかかることは否定しないが、厳密に訳す練習をすることは研究者にとってはよい思考の訓練になると思う。そもそも訳す過程で初めて外国語と日本語のずれに気付くことも多く、翻訳することで言語に対してより分析的になれるというところもある。翻訳の効用については他にもいろいろ言いたいことはあるが、それはまたにしよう。

とはいえ、なぜ私が論理実証主義の盛衰についての本を訳すのか、という疑問もあるだろう。実際、すでに科哲の某先生からも質問された。一つの理由は、単純にこの本がおもしろく勉強になるから、ということに尽きる。原書もおもしろいから読み始めたらすぐに読んでしまった。

もう一つは『オックスフォード哲学者奇行』でも紹介した、ライルが学生のエアにケンブリッジではなくウィーンに行って勉強してこいという話が気になっていたからだ。エアがウィーンに行った話はエアの自伝などで読んでいたが、エアがパクったと言われる当時のウィーン学団論理実証主義は実際のところどんなものだったのかを知るためにこの本を読み、他の人も面白かろうと思ってついでに訳したという感じである。レイ・モンクのヴィトゲンシュタインの伝記とも重なるところが多いが、このあたりの哲学史はまだあまり書かれていないので、さわりだけ知るにはちょうどよい本だと思う。

この本を読んで個人的に面白かった点は、二つある。一つは、なぜこの時代のウィーンにこれだけ燦びやかな学問・芸術の文化が栄えたのかを考えさせられる点。そのマジックがわかれば、日本でも同じようにできるだろうに、と思わずにいられない。もう一つは、ウィーン学団ディアスポラが始まり、結果的に米国で科学哲学が栄えて、そこで学んだ某先生が京大に科哲を作ったという、自分の身近なところにつながる一連の流れをぼんやり理解できたこと。この本や他の文献を読み、ここ数年で科哲(の歴史)について学べたのはよかった。

というわけで、私が翻訳する必然性はなかったものの、某編集者が翻訳を快諾してくれたこと、翻訳するメンバーが無事に集まったこと、もう一人の監訳者が優秀だったことなど、偶然か必然かよくわからない事象が積み重なり、無事に出版に至った。校正も全部PDFだったので見本ができるまではこんなに分厚い本だとは思っていなかったが、小説のように読める哲学史の本なので、紙でも電子版でもいいので、ぜひ多くの人に読んでもらいたい。というか、日本の哲学史の本も、このぐらい面白いものを書けないといけない。私もせいぜい修行しよう。

あと、表紙のデザインがかっこいいが、「殺害」を赤にしたらどうかと提案してくれたのは某妻だったので、そのこともここで記しておきたい。

「こんな本を訳してる時間があったら、さっさとシジ○ィックの本を訳しなさいっ」

「ニャ、ニャー」

 

【本日発売】『シュリック教授殺害事件──ウィーン学団盛衰史』 【紙&電子】 晶文社 shobunsha.co.jp?p=8986 版元ドットコム hanmoto.com/bd/isbn/9784... アマゾン amzn.to/4lHsYCA ついに発売。まだ迷っているという方は小川哲さんによる熱い書評と物語の幕開けとなる第一章をご覧ください。迷いは確信に変わるはずです。 小川哲さん書評 note.com/shobunsha/n/... 本書第一章 note.com/shobunsha/n/...

吉川浩満 (@clnmn.bsky.social) 2025-08-25T02:22:57.293Z

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某国際会議開始。副学長(学長?)になっているミヒャエル・クヴァンテ先生から翻訳本をいただく。ニャー

(@skodama.bsky.social) 2025-08-25T08:34:58.348Z

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始まる前からすでに疲れている

(@skodama.bsky.social) 2025-08-25T08:36:27.867Z

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二番目の報告なのでその質はともかくさっさと終わってよかった

(@skodama.bsky.social) 2025-08-25T10:48:16.000Z

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