え、こだまの世界?

A day in the life of...?

人クローン胚、ES細胞

今ごろ勉強中。千石の梟は日が暮れてしばらく寝てから飛び立つ。以下、走り書き。

ヒト胚がパーソンだとすると、まさにトロリー問題と同じ構造の倫理問題が生じる。大勢の人々(患者)を助けるために、一人(胚)を殺すことは許されるか、だ。これが一番大きい問題。この問題については、日本ではヒト胚はヒトでもモノでもなく「人の生命の萌芽」だと述べて決着(問題回避?)。つまり、大勢の人々を助けるために、ヒトでもモノでもない存在を、畏敬の念を持って破壊することは、例外的に認められるとした。まあこんな感じか。

もう一つは、人クローン胚を使って拒絶反応のないES細胞を作る場合、胚を子宮に戻すとクローン人間が出来るという問題。これは、クローン人間作成は不正なことだという前提に基づく。また、仮にヒト胚がパーソンでないとしても生じる問題。ある国に対して核の平和利用を認めたら、原爆を作る可能性もあるから、認めるべきではない、というのと構造は同じ。滑り坂論法。これは、クローン胚再生医療にも生殖医療にも使えるという二重性に由来するといえる。日本では、結局、人クローン胚からES細胞を使った再生医療の研究も、基礎研究に限ってゴーサインを出した。

体細胞を用いるiPS細胞は、基本的にこの二点を克服している点ですばらしい(ヒト胚を破壊しないので、ヒト胚がパーソンかどうかという問題は無関係、クローン胚を使うわけではないのでクローン人間は直接はできない)。ただ、生殖細胞ができる可能性があるため、生殖医療に関しては二点目と類似した問題が生じる可能性がある。