非常勤問題は深刻で、昨今の大学の台所事情を考えると今後ももっと深刻になることが予想されるが、どう考えるべきなんだろうな。以下、メモ書き。
まず、なるべく根本のところから考えることにして、正確には現状のどの点が正義に反するんだろう? 非常勤講師の多くは、派遣会社から天引きされているわけではなく、労働基本法に反するような雇用条件であるわけでもないだろうから(そういう状況で苦しむ人もいるかもしれないが)、一見して不正義があるかどうかはわからない。また、単に常勤職と非常勤に格差があるからといって、格差それ自体は必ずしも正義に反するとは言えないだろう。もちろん、みんな常勤職に就けて、自分の好きな研究をするというのが理想かもしれないが、その理想が達成されていないという理由から正義に反すると怒っているわけではないだろう。不正義というなら、どういう意味で現状は正義に反するのか。以下、すぐに考え付く回答。
- 本来は常勤職だけで大学教育が行われるべきところなのに、非常勤職を低賃金で雇って教育をさせることで、搾取している。
- そもそも非常勤職も十分ではなく、知財立国と言っているわりには研究者になる道が保障されていない。
- 真面目に研究していて、才能のある若者が常勤職に就けず、非常勤講師として大学で講義して才能を無駄遣いしている?
- 真面目に研究も教育もしていない、才能のない中高年が、いつまでも常勤職にいて、若者の就職を阻んでいる?
勉強不足。もっと現状を調べて分析する必要があるな。「大学は経営が苦しかろうがなんだろうが、ちゃんと正規の職員だけでカリキュラムを組める体制を作れ」とか、「大学院重点化を推進した国は責任を取れ」とかは、気持ちはわかるが、積極的に正義に反しているとまでは言えるかどうか。しかし、「みなが常勤の研究者になれるとは限らない状況で、研究者になることを自分で選んだんだから、常勤職が得られなくてもそれは自己責任の問題だ」と言うこともできない気がする。本質的な論点は何か、もっとよく考える必要がある。
仮に現状が正義に反するとして、ありうる方針は何か。思いつく回答。
- 非常勤講師制度を原則廃止
- 非常勤講師の講義単価を上げる
- 常勤講師の定年を早める
- 常勤講師を任期制にする
- 博士課程修了者を企業で優先的に雇用
これも勉強不足。どういう議論があるのか、真面目に勉強すること。
いずれにせよ、非常勤講師あるいは若手研究者の多くが困っていることには違いない。彼らの暮らし向きを改善するにはどうすればいいのか。正義に適った範囲での方策は? 思いつく回答。
ん〜、発想が貧困。やっぱり勉強不足。自分も関わっていることだから、既得権益バイアスがかかった判断にならないよう、他の人とも議論して真面目に考えることにしよう。