- 作者: 千代田区生活環境課
- 出版社/メーカー: ぎょうせい
- 発売日: 2003/10/01
- メディア: 単行本
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これはおもしろい。千代田区の路上喫煙に過料*1を取るまでの経緯と取り組みについて。なぜ(また、どのような場合に)国家や地方自治体が罰則を科してよいかを考える上で大変参考になる。自転車の撤去なんかも、その根拠も含めて考えると、立派な応用倫理学的課題だよなあ。あ、「応用倫理学」という言葉をひさしぶりに使ったな。なんだか懐かしい響きだ。
以下、おもしろかった反対論を抜粋。
- 「国民の喫煙の権利を制限する傲慢な条例を制定するとは、国民の権利侵害も甚だしい」(58)
- 「憲法の基本的人権に反する」(59)
- 「条例は悪法です。昔日の米国の禁酒令を思い出します。ほとんどの建物が禁煙になっているのに、外でも喫煙が許されないとなれば、こんなに息苦しい思いをする千代田区を避けて通るでしょう。すでに私の中では、千代田区には立ち入りたくないと思っています。仕事で行く時は、非常に気分の悪い思いをするはずです」(96)
- 「一部のマナーが悪い喫煙者とは一緒にしてほしくない! しかも過料までとるとは言語道断である! しょせん貴様らは庶民から金を巻き上げる国賊である。私はこの愚かな条例を撤回するまで断固戦うものである」(97)
- 「喫煙者は非喫煙者とは違い、タバコ税という税金を余計に納めているわけですから、税金を納めていない非喫煙者が恩恵を受けるのは不公平で愚行であるといえます。わざわざ路面に標識をペイントしていますが、単なる経費の無駄遣いです」(97)
- 「ぼくは千代田区政に対して何の決定権も、それに付随する諸権利も持っていません。そのぼくを、一方的に拘束できるのでしょうか。ひいては『独裁政治』の様相を持つ可能性があります。政治家を選ぶことにまったく関与できない人々まで強制するのは、やはり『自由の侵害』にあたると考えます」「千代田区在住以外の通過者は、千代田区の区長・議員を選ぶことができません。ですから、今回一方的に押しつけられた過料については一切従うつもりはありません」(98)
オレを含め、自分の利害が関わることになると、冷静な議論ができなくなることがわかる。最後の民主主義の論点もおもしろいが、そもそも地方自治法の範囲内で作られているかぎりは、地方自治法が国によって作られているわけだから、まわりまわって「自分たちが作った」ことになるんじゃないのかな。