え、こだまの世界?

A day in the life of...?

I haven't done my work yet...

J.S.ミルと現代 (1980年) (岩波新書)

J.S.ミルと現代 (1980年) (岩波新書)

本棚にあったので手にとってみると、まだ読んでなかったことに気づく。いかん。

とりあえず、スミス・ミル・マルクスの章とミルと日本の章を読む。非常に博識でおもしろい。教養の香りがする。古い岩波新書は大御所が啓蒙のために書いているのがよくわかる。それに比べると、今の新書は雑誌の読み物のようなものが多い。…と浅薄な現代批判をしていても仕方がない。とにかく勉強しよう。

私たちはどういう角度から、どういう点に注意してミルを読むべきでしょうか。私は、本章のはじめに紹介した、ミルがヨーロッパの近代思想を勉強する日本の青年にあたえたアドヴァイスを想起いたします。ミルはそこで、スミスやモンテスキューなど、複数の思想家の名前をあげております。それにはある特定の思想家だけにかたよらぬ多面的な物の見方を持つようにとの示唆がこめられているのかもしれません。私もまた、ミルの思想を理解するためにも、ミルだけに視野を限定せず、ミルと同時代人のなかから、むしろミルと思想傾向を異にする人物をえらび出し、その人物との対比を通じてミルを追究する方法がよいのではないかと思います。私自身はその人物としてマルクスをえらび、これまでマルクスとの対比においてミルを見てまいりました。(以下略、193-4頁)

オレもちゃんと勉強して、年を取ったら『J・ベンタムと現代』みたいな新書を書き、こういう適切なアドヴァイスを若者に送ることができるようにしないとなあ。