え、こだまの世界?

A day in the life of...?

届いた本、法と倫理

医事法入門 (有斐閣アルマ)

医事法入門 (有斐閣アルマ)

医事法のよい入門書。順調に増刷を重ねているようだ。

法と倫理という問題は、法学の人は「規範に関する別個の領域」と捉える傾向にあるようだ。

結局、ある問題が医療倫理の範囲で扱われるのか、法的対応が必要となると考えられるのかは、その国固有の事情が反映する。(13)

法的強制力をもって、ある規範を強制するか、あるいは各人の裁量に任せておくか、という話だ。ベンタムで言えばlegal sanctionかmoral sanctionかという話。実定法と実定道徳という対比。法学の人、というか、おそらく一般にはこのように使われる。

批判道徳を考究する医療倫理「学」は、法も倫理も考察の射程に入れ、まさに上の一文のようなメタな視点から、規範一般を考察するものと言える。

「それは医療倫理の問題だ」と言われるとき、何が意味されているかに注意。このあたり、言葉の区別というか造語が必要なんだろうな。倫理という言葉はあいまいすぎる。

Metaethics After Moore

Metaethics After Moore

ムーアのPrincipia Ethics出版100周年を記念したシンポジウムで発表された論文を集めたもの。DarwallとかDancyとかMichael SmithとかJJ. Thomsonといった大物が書いている。勉強しよう。

っていうか、Darwallの論文はおもしろいな。100年経つといろいろわかるということか。Dancyの論文はほとんどムーアの話が出てこなくてこれまたすごい。

論文に一度も章立てをしない人、I、IIと章立てはするけど名前はつけない人、、、斜め読みを拒否しているよな。なんでこう哲学では統一がとれないんだろう。

After Moore, it became possible to pursue metaethical questions completely independently of issues of normative ethics and possible also to specialize in this area without any interest in normative issues whatsoever--or, at least, any philosophical interest. (Darwall, 19)