え、こだまの世界?

A day in the life of...?

批判に対するモットー

自省録 (ワイド版岩波文庫 (77))

自省録 (ワイド版岩波文庫 (77))

もし或る人が私の考えや行動がまちがっているということを証明し納得させてくれることができるならば、私はよろこんでそれらを正そう。なぜなら私は真理を求めるのであって、真理によって損害を受けた人間のあったためしはない。これに反し自己の誤謬と無知の中にとどまる者こそ損害を蒙るのである。(87-88)

今手元にあるのは岩波クラシックス(1982年)のもの。

批判というのは、将棋で言えば、固めた守りに対して、弱いところを突いてくるようなものだ。また、テニスで、自分の取りにくいところに打ち込んでくるようなものだ。怒ることではない。弱点をなくし、長所を伸ばすためには必要な作業なのだ。*1

英米哲学書の序文には、延々と謝辞があることが多い。あれも出版の前にいろんなところで揉まれた証拠なのだ。編集者だけに見てもらうのではいけない。いろいろな批判を受けて批判に対する耐性を持った議論を作り上げなければならない。かわいい議論には旅をさせよ。千尋の谷に突き落とせ。批判は買ってでも受けよ。

*1:もちろん、かつて某師匠が指摘してくれたように、マルクス・アウレリウスもわたしも、批判されたら怒るからこそこのように書くわけであり、決して聖人であるわけではない。しかし、冷静になって考えてみると、批判はやはり何事にも代え難きものなのだ。