え、こだまの世界?

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現代政治 発想と回想

現代政治 発想と回想

だんだん話がつながってきました。大団円を迎えつつあります。

戦前、ドイツ新カント派特有の方法論の影響をうけて、日本での政策は科学ないし理論の「応用」と位置づけられ、たとえば応用経済学あるいは応用科学というような言葉がみられました。政策の開発・実現というレベルにたいして、科学ないし理論を一段とたかい純理のレベルと考えていたのです。政策は「高貴」な科学ないし理論に従属した「世俗」の実務にすぎないという考え方です。この考え方が戦後も、後述のような問題点をもつ安易な「理論・科学」崇拝となってのこります。(78頁)

なるほど、元を辿ると新カント派なんですか。そのうちもう少し調べてみよう。

もちろん大学の講義には、戦前から戦後にかけて社会政策論、経済政策論、農業政策論などといった講座もありました。だが、いずれも個別政策についての「歴史研究」で、「いかに政策をつくるか」という政策の〈つくり方〉という実務(プラクシス)の論理は「不在」だったのです。学者自体が政策作成の「経験」を日本ではいまだもたなかったため、あるいは御用審議会委員にとどまりがちだったため、政策づくりという問題意識をもっていなかったからでした。(78-79頁)

アカデミアがこういう事情で、お役所も大した哲学を持っていないとすると、他人任せにするわけにもいかんよなあ。しかし、どうやって「経験」を身につけるのか。
松下の老先生は、国の官僚も知識を持ってないから、市民参加による政策づくりだ、という参加民主主義的な発想に行く。

政策の開発・実現は、これまで考えられてきたような国レベルの官僚の統治秘儀ではなく、市民が各政府レベル[国際・国家・自治体レベル]でみずから習熟する社会の《予測・調整》をめぐる社会工学技術となっていきます。(84頁)