- 作者: 松永昌三
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/01
- メディア: 新書
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
半年かけてゆっくり読んだ(トイレ文庫だったので…)。福沢と中江の人生を対比したり、初期の慶応義塾や仏学塾のカリキュラムを解説したりしている前半がけっこうおもしろかった。中江兆民について勉強できたのもよかった。欲を言えば、二人の弟子筋の話ももう少し詳しく解説してもらいたかった。功利主義関係者は第四章の「功利主義の功罪」をチェックすること。小野梓については引き続き勉強しなければ。
- 作者: 中江兆民,井田進也
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1995/04/17
- メディア: 文庫
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
わが日本古(いにしえ)より今に至るまで哲学なし。本居篤胤の徒は古陵を探り、古辞を修むる一種の考古家に過ぎず、天地性命の理に至っては瞢焉(ぼうえん)たり。仁斎徂徠の徒、経説につき新意を出せしことあるも、要、経学者たるのみ。ただ仏教僧中創意を発して、開山作仏の功をとげたるものなきにあらざるも、これ終に宗教家範囲の事にて、純然たる哲学にあらず。近日は加藤某、井上某、自ら標榜して哲学家と為し、世人もまたあるいはこれを許すといへども、その実は己れが学習せし所の泰西某々の論説をそのままに輸入し、いはゆる崑崙に箇の棗(なつめ)を呑めるもの、哲学者と称するに足らず。(中江『一年有半』31頁)
まだまだ続くが、打つのが大変なので、この辺で。おもしろいなあ。
弟子の幸徳秋水による中江評が青空文庫で読めるようだ。残念ながら一年有半はまだない。