今日の朝日新聞でも取り上げられ、話題になっている鯨の話。確かに考えさせられるところがあり、一見の価値がある。
大きな論点は二つあって、オーストラリアによる日本の捕鯨批判は、日本人に対する人種差別がその背景にあるという点と、日本の捕鯨を批判するなら、オーストラリアにおけるディンゴやカンガルーに対する扱いも批判すべきであるという点。
前者は確かめようがないし、「捕鯨が不正かどうか」を問題にしているところに「捕鯨を不正と主張するオーストラリア人は人種差別的かどうか」という問題を提起するのは、論点のすり替えのように思う。こういう議論の仕方は、いたずらにオーストラリア人の気持ちを逆撫でするだけの気がする*1。
後者は一貫性の主張で、カンガルーやディンゴに対して(一部の)オーストラリア人がこのようにしているなら、鯨とカンガルーあるいはディンゴの扱いの違いを説明する必要があるだろう。他国の慣習を批判する前に自国の慣習を批判せよ、というわけだ。ただ、この主張は、「たしかにオーストラリアの慣習も間違っていると思う。これも改めるべく要求するので、日本の捕鯨もやめてほしい」という再反論に対してはまた別の答えを必要とするだろう。
*1:まあ、まさにそういう意図を持って行った戦略なのかもしれないが。