え、こだまの世界?

A day in the life of...?

厨房哲学*1

「なぜあなたは哲学者を名乗っているのに、政治家のように名誉や評判に一喜一憂し、しまいには心の病にかかってしまうのですか。哲学者は、心の病を治す人ではないのですか」

「(自嘲気味に)いや、わたしは所詮、哲学研究者だから。わたしのやっていることはといえば、昔の偉い哲学者の言ったことを解釈するだけなのだ」

「それでも、あなたは昔の哲学者の教えを読むのでしょう」

「たしかに哲学書を読み、暗記しさえするけれども、その内容といえば、何一つ身についていないのだ。研究対象からは距離を置く。それが研究者の態度だから」

「多くの人は人生の意味を知るために哲学書に手を伸ばすのに、あなたはそうではないのですね」

「いや、わたしも昔はそうだった。わたしも人に人生の意味を教えられる哲学者になりたかったのだ。しかし、長い道のりを歩いているうちに、どこに進んでいるのかわからなくなったらしい。もう元にも引き返せない」

「哲学もスポーツも、たしなむ程度がよいようですね。それを専門にしていると、いつかは体を壊してしまう…」