近代政治思想史〈4〉産業化と大衆時代の政治思想 (1978年) (有斐閣新書)
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 1978/10
- メディア: 新書
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少しだけ勉強。30年前の本だけに(?)、マルクス(階級闘争)史観によるベンタムとミル理解がなされているようだ。
こうして、各人は"欲望の主体"として解放されたのである。(ベンサムの)主観価値説は、近代ブルジョア社会におけるブルジョア倫理にほかならなかった。その価値観は、可変的であり、相対的であり、個人的であり、主観的であって、いかなる客観的な普遍的規準も含んではいない。(46頁)
「近代ブルジョア社会におけるブルジョア倫理にほかならなかった」という記述がかっこいい。やっぱりこう記述することによって批判しているんだろうな。
ミルの課題は、ブルジョアジーを基本的な支配者階級へ上昇させることであった。しかし、問題は、そのためにはプロレタリアートの支援をとりつけなければならなかったところにある。しかも、プロレタリアートの脅威には一定の歯止めをかけなければならない。(50頁)
この記述もおもしろいな。この主張を支持する客観的な根拠はないと思われるが、まるでミル自身が、このようなマルクス主義的認識を持って活動していたように読める。