薔薇と鶏頭
薔薇の側に生えていた鶏頭が「なんとあなたは綺麗な花なでしょう。そして神様にも人間様にもお好かれになる。美しくって、香が芳くって、あなたは仕合わせだと思いますわ。」と言いました。と、薔薇が「私は、鶏頭さん、僅かの間しか生きません、そしてたとい誰も私を摘み取らなくっても、萎んでしまいます。けれどあなたは花ざかりで、いつまでもほんとに娘でいらっしゃいますね。」と言いました。
これは、少しのもので満足して永らえる方が束のま派手に暮らして不幸な転変に遇ったり、そればかりか死んだりするよりも優っている、ということなのです。(以下、245頁)
- 作者: イソップ,中務哲郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1999/03/16
- メディア: 文庫
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