え、こだまの世界?

A day in the life of...?

「山びこ学校」を図書館で借りてきた

山びこ学校 (岩波文庫)

山びこ学校 (岩波文庫)

生活綴方(作文)によって自分の生活や社会を見つめ直すことによって人格形成を行うという形の社会科教育を、山形の山村で実施したさいの、作文集。あとがきや解説が勉強になる。

遠い「山びこ」―無着成恭と教え子たちの四十年 (新潮文庫)

遠い「山びこ」―無着成恭と教え子たちの四十年 (新潮文庫)

一読すると、『山びこ学校』はプロレタリア文学の流れを汲むのかと思うが、この本を読むと無着先生自身はそういう意図はあまりなかったことがわかる。しかし、この本が有名になると、いろいろ政治的な意図が働いたようだ(飛ばし読みなので正確なところはよくわからないが)。

作文が、文章力を高めるためにあるのか、人格形成のためにあるのかという議論はおもしろい。いわば、作文は国語教育なのか、社会科教育の一環なのかという問題だ。もちろん、両者だという答えもありうるだろうが。

これは、その後国語教育界を二分する作文派対生活綴方派の論争を先取りするものだった。作文派といわれるグループは、文部省の学習指導要領に基づく表現指導に重点を置き、国語科としての計画的、系統的な指導を強調していた。一方、生活綴方派といわれる一派は、表現の裏側にある生活の指導を重視し、国語科のみにとどまらぬ社会科的指導に重点を置いた。『山びこ学校』は生活指導偏重型であり、方言へのノスタルジアを抱いた貧乏綴方一辺倒に陥っている、という国語教育協議会からの批判は、両者のこうした立場の違いに根ざしたものだった。(276頁)

国語や芸術で人格形成する。日記を書いて人格形成。ブログを書いて人格形成。オレもこういう発想があるよな。とかく修養が好きなのだ。