え、こだまの世界?

A day in the life of...

結論の評価と推論の評価

(シンガーが受勲したことについてメモ)

「われわれとしては、どこへでも議論が風のようにぼくたちを運んで行くほうへと、進んで行かなければならない」とソクラテスは言う。しかし、こんなに難しいことはない。われわれは結論さえ気にいれば、そこまでの推論には目をつぶってしまうし、反対に結論が気にいらなければ、議論を打ち切ってしまうか、人格攻撃を始めてしまう。

一般人は結論の良し悪しを評価し、哲学者は推論の良し悪しを評価する。シンガーの評価が分かれる理由もここにある。だが、推論を評価する基準は論理だが、結論を評価する基準は常識であり、われわれは常識がしばしばあてにならないことを知っている。