- 作者: 須田セツ子
- 出版社/メーカー: 青志社
- 発売日: 2010/04/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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川崎協同病院「安楽死」事件で被告人として訴追された医師本人による手記。事件の発端から、地裁、高裁、最高裁に至るまでの顛末が詳しく述べられており、大変勉強になる。おもしろかったので一気に読んだ。
警察や司法が末期医療に介入すると、医師にとっても患者とその家族にとっても望ましくない結果になるという主張には同意。ただ、現状をどうすべきかという点に関して、最終章で「あうんの呼吸」型の医師患者関係に戻るべきだというように読めるところは首肯しかねる。
医療チームや倫理委員会等のグループで討議すると、「一日でも延命すべきだ」という「正論」がまかりとおってしまっていけないという主張には見るべきものがあるが、それでも治療義務の限界と患者・家族の同意に関して、手続きの透明性を保障する方向で制度作りをせざるを得ないだろう。臓器移植ほどではないが、透明性を確保しないと、社会の信頼は得られないという時代になっているように思う。
以下の本も一緒に購入した。最高裁判所への上告を手伝った弁護士がまとめた本。
なお、川崎協同病院による声明はここ。
殺人罪に問われた医師 川崎協同病院事件 ? 終末期医療と刑事責任
- 作者: 矢澤曻治
- 出版社/メーカー: 現代人文社
- 発売日: 2008/11/14
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